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by uniconlabo

2012.11.06 「3大学の不認可」見直しへ

 マスコミ全般のトーンは、「予想通り」あるいは「再び」(前歴のある)大臣の暴走、ちゃぶ台返し、というものだが、新聞各紙の記事、当事者や識者の発言および論点を整理した下記の「ニュース」を参考に供する。





高等教育キーパースン各位
  2012年11月6日

  地域科学KKJ“私論公論”の場 <31>
      3大学新設不認可~今、何をなすべきか?

  地域科学研究会
高等教育情報センター
                        代表 青野友太郎

 2013年4月開学予定の3大学について、設置・法人審議会の答申に反し
て、田中真紀子文科大臣は3大学に不認可の政策判断を行った。

 “唖然・暴挙だ”“理不尽・論外だ”そして“やはり、また”といった
声が挙がる中で、今、大学人は何をすべきか?まず、公立大学協会、日本
私立大学団体連合会、国立大学協会は文科大臣に対して“不認可の取り消
し”について、要求すべきである。当事者の3大学を支援し、大学人は
“撤回”を実現すべきことである。

 さて、ここでは“論点整理”のため、当事者及び関係者のコメントから
始めたい。
A.田中文科相
 ・大学が多すぎて教育の質が低下している。
 ・大学同士の競争激化で運営に問題が出ている。
 ・審議会メンバーは大学関係者ばかりで、審議会を抜本的に見直す。
 ・新しい認可の仕組みを早急に立ち上げ、その場で検討する。

B.文科省の幹部
 ・寝耳に水で驚いている。答申が出た段階でその判断をいきなりひっく
  り返すのは良くない。
 ・大臣の政策判断である。政策的な理由で不認可にしたのは初めてのこ
  とだ。
 ・学教法で「設置審に諮問せよ」とあるが、認可権限自体は文科相にあ
  る。法的手続き的に何の問題もない。

C.3大学の法人理事長
 ■秋田市長/秋田公立美術大 穂積志氏
 ・審議会答申を覆す決定をしたのは承服できない。
 ・文科相の考え方一つで変えられるのは行政の継続性を逸脱する。
 ■清光学園理事長/岡崎女子大 長柄孝彦氏
 ・理不尽さに憤りを感じる。大学設置基準はすべてクリアしている。
 ・文科省への抗議や行政訴訟、損害賠償も検討する。
 ■吉田学園理事長/札幌保健医療大 吉田松雄氏
 ・「どう考えても今回の決定は理不尽」

D.専門家・大学人
 ■阿部泰隆氏/神戸大学名誉教授・弁護士
 ・大学数が多いというのは設置基準にはないので、理由にはならず、裁
  量権の逸脱だ。訴訟になれば文科省が負けることは明白。
 ■新藤宗幸氏/千葉大学名誉教授
 ・大学側は文科省と詳細な打合せを行ない、審議会の段階ですでに
  『認可』の合意に達していると受け止められてきた。
 ・最終的な判断権限は文科相にあり、法的に問題ないが、大学の負担は
  あまりにも大きい。大学の質を問うならば、別の場で議論すべきだ。
 ■金子元久氏/筑波大学教授
 ・大学設置のあり方について、考え直すべき時期に来ていた。
 ・文科相のやり方はあまりにも性急。先に現状の制度を中教審などで検
  討すべき。
 ■内田樹氏/神戸女学院大学名誉教授
 ・大学側がこうむる人事や財務についての損害を文科省はどう補償する
  つもりなのか。
 ・設置基準のルールが不適切ならば、教育行政を主管する文科相はまず、
  謝罪と反省をすべき。
 ・政局と学校教育では流れている時間の速度も目的も違う。政治家は教
  育への干渉をできる限り自制すべきだ。

E.マスコミ
 ■読売新聞「道理なき不認可は直ちに撤回を」
 ・制度改革と個別大学の開設可非を混同、尋常な判断ではない。速やか
  に撤回すべき。
 ・不認可は裁量権の逸脱だ。
 ・外相時代に政治主導をはき違えたような振る舞い…今回も言動を不安
  視する声があった。
 ・案の定というべきで、首相の任命責任も重い。
 ■毎日新聞「あまりにも唐突、将来に危険も」
 ・答申無視の前例が出来れば「意に沿わぬ」法人の申請を不認可にした
  り、逆に問題ある申請を認可する可能性もある。将来の危険をはらん
  でいる。

 当事者である3大学は7日に文科省を訪問し、「不認可撤回を求める」
予定である。法的対処としては、次の3つが想定される。
 1.行政不服審査法に基づく不服申し立て
 2.不認可撤回を求める行政訴訟
 3.損害賠償請求
 しかしながら上記「1」については、学教法第139条において「文部科
学大臣がした大学又は高等専門学校の設置の認可に関する処分については、
行政不服審査法による不服申し立てをすることが出来ない」とされている。
何故にこのような規定になっているのか??

 また、行政手続法第13条において「行政庁は、不利益処分をしようとす
る場合には・・・当該不利益処分の名あて人となるべき者について、・・
・意見陳述のための手続を執らなければならない。」とされている。つま
り、「聴聞」や「弁明の機会の付与」である。文部科学省聴聞手続規則に
よる措置は、今回、どうなっているのか??
 さらに、裁判所への「義務付け訴訟」という手続きがあるとのこと。こ
れらも含めて、今後の厳しい高等教育経営環境を踏まえると、「行政処分」
へのこれらの「異議申立て」について、明確化しておくことが肝要となっ
ている。法学専門家からのコメントを得たい。

 小会KKJは、この33年余、日本の高等教育に伴走し、特に“政策と認可
行政”分野においては、1983年以降、『設置基準と認可行政』に係る大部
な資料集を6回改訂し、一貫してフォローをしてきている。『〔21C改訂
版〕大学・短大の設置認可申請・届出マニュアル~事前規制から事後チェ
ックへの大転換期を拓く』は2005年12月に刊行した7冊目の資料集である。
「自由化時代の“質保証”と“説明責任”」について、この30年余の高等
教育政策を検証するとともに、鋭く提言をしてきた。つまり、「大学設置
基準」及び「設置・届出の審査基準」についてトータルでリアルタイムで
記録してきたのは、KKJのささやかなる仕事である。今後の「設置認可・
届出制度」について、検証と提言については、別稿で論展していきたい。

 本日(6日)午前の閣議後、田中文科相は「新たな検討会議を発足させ、
新基準での再審査を短期間で行い、改めて判断する」と述べ、2013年4月
開学に向けて、事実上「不認可決定を撤回」との報道があった。
 しかしながら、学生の志願と入試、就任予定の教員の処遇などの緊急性
・重要度において、文科相は明日7日の3大学の文科省訪問時に潔く「撤
回」すべきことである。どう考えても「検討会議」に委員として早急に参
画する人物は想定できず、短期間での再審査は不可能といえよう。

 さて、この“私論公論”メールは、5,000人余の高等教育キーパースン
各位に送信しております。是非、“高志と勇気”ある各位から、日本の高
等教育と社会を“元気”にする発言を本コーナーに寄稿いただけましたら
幸いです。


*** メッセージ・お問合せ・お申込み先 ***
 地域科学研究会 高等教育情報センター
〒102-0082千代田区一番町6-4ライオンズ第2
TEL 03-3234-1231 FAX 03-3234-4993  
E-mail kkj@chiikikagaku-k.co.jp
http://chiikikagaku-k.co.jp/kkj/
 担当  青野/大村/八木
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by uniconlabo | 2012-11-07 18:22 | 記事紹介